病院やクリニックで診察を受けると、医師がパソコンに向かって入力している光景を見たことがある人は多いだろう。病院やクリニックでの電子カルテの導入は、徐々に広まりつつある。今まで紙カルテに記入していたデータを、電子情報として一括で管理できるのだ。400床以上の病院における電子カルテの導入率は、2008年が38.8%であったのに対し、2011年では57.3%まで増加している。また200床未満の小規模病院でも、2008年の8.9%から、2011年では14.4%と増加した。規模が大きいほど電子カルテの導入率は高く、医療機関全体に見ても導入率が増加傾向にある。
電子カルテが広く普及しつつあるのは、電子カルテを導入するメリットがあるためだろう。それには大きく3つのポイントがあり、1つは業務の効率化だ。カルテの記載の手間や医療品などのオーダーが効率よくでき、さらに予約や受付業務の時間も削減できる。また検索機能が優れているので、カルテを探す手間も省けるのだ。次に、スペースが広がることだろう。電子カルテで入力したデータはサーバーに蓄積される。スペックの優れたサーバーならば、大量のデータを保管できるはずだ。患者が増えてデータが増えても、紙カルテのように保管場所に困ることはない。3つ目は、見たい情報をリアルタイムで確認できることだ。ネットワークにつながるパソコンさえあれば、どこからでも患者のデータを見ることができる。そのため、遠隔でもタイムリーな対応を取ることができるのだ。