医療機関内で、医師や看護師が所持している通信手段を気にしたことがあるだろうか。かつて携帯電話はペースメーカーが誤作動を起こす原因になるとして、院内での使用は固く禁じられていた。そのため、医師や看護師が院内で使用する通信手段には、PHSが広く使われていたのだ。しかし、ペースメーカーの改良とともに、こうした懸念も今は払拭されている。そこで、より便利な機器であるスマートフォンを医療機関で導入する動きが高まってきているのだ。
医療のIT化は急速に進んでおり、電子カルテの導入はその代表ともいえるだろう。電子カルテを導入することでカルテの保管場所が大幅に減り、看護師がカルテを持って他の診療科まで走るといった作業がなくなる。複数の医療機関をかけ持ちしている患者では、医師同士が患者の情報を共有することもできるのだ。医療がどんどん高度化されるに従い、働く医師や看護師といった人材不足も深刻になっているが、こういった問題を解消できるのがIT化に伴うスマートフォン導入なのである。
看護師がこの導入を最も身近に感じることができるのは、ナースコールをスマートフォンで受け取れることだろう。スマートフォンであれば、フロアを超えた呼び出しにも対応することができたり、直接医師がスマートフォンを介して看護師に指示を出したりすることも可能だ。一刻を争う緊急時に、より迅速な対応が可能となるメリットは大きい。また無駄に走り回らずに済むというのは、看護師の労働負担軽減にもつながることだろう。医療機関によるスマートフォン導入については*ITと医療*でも触れられており、よりIT化の魅力を感じられるのではないだろうか。